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| 老後のための設計図と題し、いろいろとご提案していきます。 |
| 第12回 |
≪第29号 1998.4.1発行号より≫ |
老後の設計図
ここ20年間で、ご飯を食べる量は半減しているのに、梅干の消費量は2倍に増えているとか。背景には健康食品ブームがあると言われていますが、各家庭で梅干を漬けなくなったことも、購入量を増やす原因の一つかもしれません。
梅干、ラッキョウ漬け、糠味噌漬、ジャム、果実酒などの自家製保存食品は、ひと昔前ならどこの家庭でもよく見られた、まさに我が家の味。一度に大量に作って、床下収納庫、冷蔵庫の野菜室、流しの下、台所の隅など、涼しい場所に置かれていたものです。
でも、腰をかがめて大きな瓶を出し入れするのは力仕事だし、狭い台所には置いておく場所もない、手間もかかるしもうやめた!という人が多いのでは・・・。そう思って調べてみたのですが、50〜60代の6割以上の人が自家製保存食を作り続けているようなのです(生活者研究室調べ)
自家製保存食の良さは、まず第一に「安全性」、第二に「我が家の味」、そして第三が「コミュニケーション」。防腐剤や着色剤とは無縁の自家製品だから健康に良いし、どこにもないオリジナルの味が創り出せるのも楽しいことです。それにご近所に配ったり、レシピを交換しあうことで、おつきあいも生まれそう。包装紙の余分なゴミも出ないので、環境にもやさしいですよね。
重荷になりそうな力仕事も、設備面を工夫すれば大丈夫。自動昇降する床下収納庫にするとか、キッチンの引き出し(かがんで奥のものを引っ張り出すより断然ラクですよ)を一つ保存食専用にするとか・・・。
「老後の設計図」に健康的で安全な「食」の楽しみを、ぜひ描き込みたいものですね。 |
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| 第11回 |
| ≪第27号 1997.10.1発行号より≫ |
老後のための設計図
生活研究室で調べてみたところ、水回りの商品の購入を決定するとき、色やデザイン、使い勝手の検討は奥様、最終的に経済的な判断を下すのは御主人、といった役割分担があるようです。
男性は経済担当、女性は家事担当、という役割分担制の結果でしょうか。しかし、こうした役割分担の枠組みが、最近除々にですが変わりつつあります。「分担」するのではなく「共同」で家事をする。これは夫婦共働きが多い若い世代に限ったことではありません。ある調査によると、なんと「男子厨房に入らず」世代であるはずの60歳代の男性が毎日のように買物に行ったり、料理を作る割合は15%強で、20〜50歳代の3倍以上。
元来、経済担当の男性は、退職により役割自体があいまいになってしまいます。一方女性も、子供が独立すれば家事にかける時間やエネルギーがぐんと少なくてすみます。家庭で残る仕事は夫婦二人分の家事のみ、となれば熾烈な家事主導権争いか・・・。いえいえ仲良くやってくださいね。
たとえば、二人で立つキッチン。スペースの確保はもちろんですが、メインのシンクとは別に、レンジの脇にもう一つシンクを設けておく。茹でたホウレンソウの入った熱い鍋を持って奥さんの後ろを通らなくてすみますし、洗い物と野菜の皮むきが同時にできるといったメリットもあります。メインのレンジ以外に、小さな電磁プレートやコンロ、電子レンジなどの加熱機器があれば、一人が炒め物をしているときに、もう一人がスープを作ったり野菜の下ごしらえをするなど、調理がスムーズに進むでしょう。
年齢を考慮して基本的に満たしたい条件はたくさんあります。座って作業できるようにカウンターの下をオープンにすることや、低い位置の釣り戸棚、明るめ照明、床暖房など。基本的な条件をクリアして、それにプラスオンの楽しいアイディアを考えてみてはいかがでしょうか。 |
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| 第10回 |
| ≪第24号 1997.1.1発行号より≫ |
老後のための設計図
「食高掃低」って何のことだかわかりますか?
50代60代のベテラン主婦でも家事に好き嫌いがあり、なかでも料理は好き、掃除は嫌いという人が多い・・・という研究室の調査結果からの造語です。
「目に見えにくい汚れはあまり気にしない」「来客のあるときだけ舐めるように掃除する」「でも腰をかがめて拭き掃除をするのは辛い」こんな声が聞こえてきます。
そこで「清潔にしたい住まいの空間」で常に上位にランキングされるトイレについて考えてみました。
掃除しにくい場所は、ロータンクの下、シャワートイレの配線・配管といった便器の後ろ側など。
目も手も届きにくい場所ですから、なるべく凹凸の少ないデザインの機器を選んだり、ロータンクや配線・配管ごとキャビネットで覆ったコンポーネントタイプにする方法も考えられます。
また「抗菌商品」も汚れが付きにくく落としやすい、お掃除の味方です。
こうした工夫に加えて、これからの住まいの新築、増改築をする方に考えていただきたいのが「掃除の作業スペースを考慮してトイレを広めに」ということ。便器の両わきに腕を差し込めるぐらいの余裕しかない場合、掃除機やモップ状の拭き道具を駆使しても隅まで完璧!とはなりにくいし、姿勢自体もかなり苦しいはず。
便器やロータンクなどの機器がきちんと収まること、入退室や立ち座りに十分な広さがあること、プラス清掃作業をラクにする余裕分を考慮したいものです。 |
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| 第9回 |
| ≪第33号 1999.10.1発行号より≫ |
住まいの悩み解決法(結露対策)
Q寒い日の朝、ガラス一面にびっしり水滴が。何かいい対策はありませんか?
Aこれは結露といって室内外の温度差によって、空気中の水蒸気が水滴になる現象です。結露はカビの発生や壁材の汚れ、床材の腐食などにつながることもあります。主な対策には、以下のような方法があります。
1 こまめに換気する
室内外の温度差が開きすぎないように、こまめに空気を入れ替えます。また、調理中や洗濯物を干しているときは思いのほか湿気が出ているので、換気を心掛けましょう。
2 新聞紙を利用してサッとひとふき
結露した窓ガラスに新聞紙を貼るのも手です。しっかり水分を吸収してくれる上、そのまま丸めてゴシゴシすれば、ピカピカに。ガラス磨きもできて一挙両得です。
3 内装材を変える
木材や畳など湿気を吸収する内装材を使うと結露しにくくなります。また土を主原料としたINAXの「エコカラット」は優れた吸放湿性能をもつ健康建材なのでおすすめです。 |
≪第37号 2000.4.1発行号より≫ |
手すりの使い分け
「手すり」といっても横型や縦型、L型などその種類はさまざま。それぞれの特徴を知り、目的や取り付ける場所に応じて使い分ければ、より安全に過ごせます。
●横型
廊下や階段など、伝い歩きをする所に適しています。
●縦型
玄関など立ち上がったり、かがんだりするような縦の動作が多い場所にはこのタイプを。
●L型
トイレやお風呂などに。横のバーをつかむと体が安定し、立ち上がるときは縦のバーで体を支えることができます。
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| 第8回 |
| ≪第33号 1999.4.1発行号より≫ |
2世帯住宅設計のコツ
同居では2つの家族が一緒に暮らすため、生活習慣の違いが一方に不愉快を感じさせることがあります。例えば食事の後、親はすぐに食器を洗わないと気持ちが悪いと思う。これに対し、息子の嫁は後でまとめて洗うほうを好む。こういった実にくだらないことが意外と気になってしまうもの。そして、後の大きな問題の火種にもなりがちです。
そのため、2世帯住宅を建てるときには、あらかじめ2家族で話し合って「自分がどうしても許せないこと」を確認しておくことが大切です。そして、この“どうしても許せないこと”で衝突が起きないように、設計上の配慮をするべきです。
例えば、親が早く寝てしまい、息子が毎日遅く帰宅する場合には、息子が帰宅したときの音が届かない場所に親世帯の寝室をつくると良いでしょう。他人の音は気にならないが、身内の音は気になるもの。どういうことかというと、お隣の子供が咳をする音が聞こえてもなんとも思わないが、自分の子供や孫が咳をすると、それが遠くであっても気になってしまうという意味です。
2世帯同居住宅では、高齢者に対する配慮も忘れてはいけません。高齢になって、体の動きが不自由になっても、自分の力でトイレに行くなどの生活ができるようにする。親世帯の住居部分をバイアフリー化する、もしくは将来バイアフリーにしやすくしておくことが大切です。 |
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| 第7回 |
| ≪第31号 1998.10.1発行号より≫ |
『半身浴』ならではの"効用"
リラックスとは、気持ちが落ち着き、筋肉の状態が解かれた状態ですから、入浴という行為自体、心身のリラックスを生み出す条件を備えています。さらに半身浴であれば、のぼせることなくゆったりと入浴を楽しめ、よりリラクゼーション効果が高いといえます。
また、段階的に心身をリラックスした状態に導くセルフコントロール法に「自律訓練法」がありますが、この方法の最終段階は「手足や腹部が温かく、顔が涼しい」と感じること。これは古くから健康に良いとされる「頭寒足熱」の状態を自分で作っていくことを意味します。みぞおちから下がお湯につかる半身浴は、まさに頭寒足熱の状態ですから、優れた健康法といえるでしょう。
さらに、半身浴にはクリエイティブな効果も期待できます。リラックスした状態では、脳波にα波が多く現れるようになります。このα波は、新しい考えや発想が生まれる時にも測定されており、リラックスは休息だけでなく、創造性とのつながりが大きい―つまり、半身浴で得たリラクゼーションから、優れた発想や発見が生まれる可能性があるのです。
老化とは、体から水が減ること!?
老化とは、体内から水分が減少していくことである、という説があります。新生児は体内の約80%が水分。それに対して、成人男性の水分量は約60%、成人女性の場合は約55%となります。
科学的にみても「みずみずしい」という表現は、文字どおり水分が多い状態をさします。野菜でも水分が多く含まれた状態は新鮮であることの証です。逆に、鮮度が落ちるということは、水分を失うことにほかなりません。私たち人間も加齢するにつれて体内の水分が減少し、しかも男性と比べ、皮下脂肪の分、女性のほうが水分の減少が早いことになります。
意識して、体にいい水と緑黄色野菜(無農薬)など、水分が多い食品を取ること。あたり前のようですが、これが老化を防ぐ得策といえそうです。 |
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| 第6回 |
| ≪第30号 1998.7.1発行号より≫ |
住まいの環境問題
「化学物質過敏症」とは聞きなれない病名ですが、アメリカで研究が始まり、ここ数百年は日本でも次第に認知されてきています。化学物質過敏症とは、一言で言えば、化学物質によって引き起こされる病気です。いまや私たちは、食品、殺虫剤などの農業、室内の化学物質や電磁波など、多くの化学物質の中で暮らしています。これらを毎日摂取し続けることで、人によっては、体に変調をきたすようになってしまいます。
化学物質過敏症はアレルギーを起こすよりも、もっと微量の物質で起こることが特徴です。症状にも違いがあります。アレルギーは免疫反応が過剰に反応して起こるものなので、免疫反応を調べれば診断できるのですが、
化学物質過敏症の場合は一種の中毒症状で、なかなか原因がわかりにくいという問題があります。
その症状は、感覚器障害、神経障害、精神的障害と多岐にわたり、多くの患者さんは、なんとなく体が不調ということで内科を訪れますが、不定愁訴(原因不明の肩こり、イライラなど、不快感の訴え)などと考えられ、精神科に委ねられたり、新しい家の環境によって症状が出た場合には「引っ越しうつ病」などと診断されてしまうこともあります。
しかし、この病気は、中毒症状として目の神経にはっきりとした変化が起きることが突き止められてから、化学物質過敏症として研究が進められるようになったのです。
化学物質過敏症の原因は、日頃口にしている食物はもちろん、大気汚染、室内に放出される化学物質や電磁波などと広範囲にわたります。しかし、中でも室内の環境が比較的原因と考えられる傾向があります。
室内の空気汚染で特に問題とされるのは、有機系の化学物質です。家具、畳、じゅうたんやカーテンには防虫加工や防湿加工がされ、パラジクロルベンゼンが多く使われています。合板には接着剤にトルエン、キシレン、ホルムアルデヒドなどが含まれています。このほか、室内のビニール製品、香水、ペンキ、洗浄剤、印刷物のインキなどからも、揮発性の物質が室内に放出されます。
このように室内には、多くの化学物質が放出されています。しかし、化学物質過敏症を引き起こしているのは、われわれ自身ともいえます。便利なもの、きれいなものが手軽に使える快適な生活に浸ってしまった以上、なかなかそれを捨てさることができないのではないでしょうか。 |
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| 第5回 |
| ≪第27号 1997.10.1発行号より≫ |
老後の設計図
ここ20年間で、ご飯を食べる量は半減しているのに、梅干の消費量は2倍に増えているとか。背景には健康食品ブームがあると言われていますが、各家庭で梅干を漬けなくなったことも、購入量を増やす原因の一つかもしれません。
梅干、ラッキョウ漬け、糠味噌漬、ジャム、果実酒などの自家製保存食品は、ひと昔前ならどこの家庭でもよく見られた、まさに我が家の味。一度に大量に作って、床下収納庫、冷蔵庫の野菜室、流しの下、台所の隅など、涼しい場所に置かれていたものです。
でも、腰をかがめて大きな瓶を出し入れするのは力仕事だし、狭い台所には置いておく場所もない、手間もかかるしもうやめた!という人が多いのでは・・・。そう思って調べてみたのですが、50〜60代の6割以上の人が自家製保存食を作り続けているようなのです(生活者研究室調べ)
自家製保存食の良さは、まず第一に「安全性」、第二に「我が家の味」、そして第三が「コミュニケーション」。防腐剤や着色剤とは無縁の自家製品だから健康に良いし、どこにもないオリジナルの味が創り出せるのも楽しいことです。それにご近所に配ったり、レシピを交換しあうことで、おつきあいも生まれそう。包装紙の余分なゴミも出ないので、環境にもやさしいですよね。
重荷になりそうな力仕事も、設備面を工夫すれば大丈夫。自動昇降する床下収納庫にするとか、キッチンの引き出し(かがんで奥のものを引っ張り出すより断然ラクですよ)を一つ保存食専用にするとか・・・。
「老後の設計図」に健康的で安全な「食」の楽しみを、ぜひ描き込みたいものですね。 |
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| 第4回 |
| ≪第26号 1997.7.1発行号より≫ |
住まいの環境問題
最近、各住宅関連メーカーから自然にも人にも害を与えない家を造る、という新しいコンセプトに基づいた商品が登場してきました。自然環境や人間を汚染しない物で作る。使用後は自然に還元されるといった物です。
新商品の多くは自然材料で作られていますが、単に、木材のムク材を使うとか石を使うとかではなく、そこに科学的処理や技術的処理をして商品化したところに真骨頂があります。
しかし環境問題が取りだたされていても、大義名分だけでは難しく、ビジネスとして成功しなければ各社がこぞって商品化するといった状況にはなりません。
かつては、暑さ寒さも人間の知恵で対応してきましたが、今はエアコンが普及しています。家庭ではミネラルウォーターを飲んだり、水道水には浄水器を付けて飲んでいます。
これらは全て経済的なコストアップにつながりますが、コストをかけてでも健康な生活を脅かすものを排除したいというのが現代人なのではないでしょうか。そういう意味では環境や健康に配慮した商品の登場は、単なるブームに終わることなく、これから充分な市場性を見いだすことができるといえます。また、こうした商品の登場は生活者の防衛本能をくすぐるだけでなく、一歩進んで本格的に環境問題と取り組むことで、生活者にとって“安心を買う”商品にしているところにも、明日からの市場をつくるという近未来的可能性をもっているといえます。 |
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| 第3回 |
| ≪第25号 1997.4.1発行号より≫ |
よい水がほしい
私たちが一日に使っている生活用水というのは、ひとり当たり平均325リットルです。これには風呂や洗濯、トイレなどすべてを含みますが、そのうち飲む水はわずか3リットルです。その元になるのはふつうは地表水、つまり河川の水です。それは生活排水や工業排水などで汚されているため、浄水場での塩素注入量がどんどん増え、その結果として水道水のカルキの匂いが強くなりました。同時に塩素が水に含まれるフミン酸やフルゴ酸などと結合して、発ガン性が心配なトリハロメタンをつくる危険など、さまざまな問題も出てきました。ともかく家庭に供給される水道水は、水道基準を満たすことを第一定義としています。だから飲料水のレベルの水準を上げるために、いまとなっては浄水器が必要といってまちがいありません。
浄水器は1980年からの10年間に出荷数は350倍にもなりました。生活の基準である飲み水は政府に任せておけない、公共のガイドラインによってつくられる水道水も信頼できない、という気持ちが一人ひとりの心の中に強くなったことがこの売れ行きであり、一方には健康志向の生活をいう背景があったのです。
さまざまなものを試してみた結果としては、一度だけ濾過するものだと塩素はとれたとしてもあまり水がおいしくない、そして三ヶ月もすると必ずといってもいいほど塩素が検出される。また、塩素は取れるかもしれないが、それ以外の残留農薬や有害金属などはとれないのではないかという問題もあります。
家庭用浄水器産業は、もっと合理的で科学的なものが出てくる可能性がありますが、いまのところは一台あたり15〜6万円するものが多く、その意味ではけっして経済的負担が小さいものではないのです。 |
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| 第2回 |
| ≪第24号 1997.1.1発行号より≫ |
「食高掃低」って何のことだかわかりますか?
50代60代のベテラン主婦でも家事に好き嫌いがあり、なかでも料理は好き、掃除は嫌いという人が多い・・・
という研究室の調査結果からの造語です。
「目に見えにくい汚れはあまり気にしない」「来客のあるときだけ舐めるように掃除する」「でも腰をかがめて拭き掃除をするのは辛い」こんな声が聞こえてきます。
そこで「清潔にしたい住まいの空間」で常に上位にランキングされるトイレについて考えてみました。掃除しにくい場所は、ロータンクの下、シャワートイレの配線・配管といった便器の後ろ側など。目も手も届きにくい場所ですから、なるべく凹凸の少ないデザインの機器を選んだり、ロータンクや配線・配管ごとキャビネットで覆ったコンポーネントタイプにする方法も考えられます。また「抗菌商品」も汚れが付きにくく落としやすい、お掃除の味方です。
こうした工夫に加えて、これからの住まいの新築、増改築をする方に考えていただきたいのが「掃除の作業スペースを考慮してトイレを広めに」ということ。便器の両わきに腕を差し込めるぐらいの余裕しかない場合、掃除機やモップ状の拭き道具を駆使しても隅まで完璧!とはなりにくいし、姿勢自体もかなり苦しいはず。便器やロータンクなどの機器がきちんと収まること、入退室や立ち座りに十分な広さがあること、プラス清掃作業をラクにする余裕分を考慮したいものです。 |
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| 第1回 |
| 第三空間 ≪第20号 1996.1.1発行号より≫ |
高齢者の五感が若者と比較して、衰えてくるのは当然です。おもなものを考えてみましょう。
<視力>
視力のピークは9才です。40才くらいから低下し、視野が狭くなります。とくに上方が見えにくくなり、さらに形体、とくに奥行認知が狭くなりますから、高所のサインや、物をまたぐときは注意します。
明暗順応も低下しますから、明るい居室から暗い廊下に出る時は危ないので、照度差は避けましょう。
<色覚>
光がないと色は見えません。高齢になり、水晶体に色素沈着が生じるにしたがい混濁し、白内障となり、短い波長である青や緑は見えづらくなります。逆に長い波長の赤やピンク、オレンジはほとんど変化がありません。さらに明度や彩度の低い色も見えにくくなります。
<聴覚>
40才代から高音域の低下が始まり、50才を過ぎると低音域も低下します。とくに後方からの音は、方向性の察知が鈍くなるため、聞きにくくなります。大声で話したり、電話や玄関のチャイムの音にも反応が鈍くなります。
<味覚>
舌の表面には無数の穴、味蕾があり味を感じます。加齢とともに舌の前面からその数が少なくなり、つまり味の感覚が衰えます。しかしたんに空腹を満たすために食べる年齢ではなくなってきていますから、食事の雰囲気をたいせつにすれば味覚の衰えは防げます。
<嗅覚>
嗅覚は70才を過ぎると急速に衰えます。危険なのは自分が無嗅覚に近くなっているのを自覚していない方が多いことです。それは、煮物などの焦げつき、ガス洩れなどに気づかないことにつながります。自動消化設備のついた熱源にしましょう。
こうして高齢者の身体の変化をわかってきますと、避けられないものとはいえ、気分が滅入ってくるのは当然です。しかし、積極的に“老い”を受けとめていく生き方をえらびましょう。
人間の脳には動作性知脳と言語性知脳があります。前者はピアノを弾く、車を運転するなどで、後者は論理的思考をするようなものです。両者ともに25才がピークで、その後前者は50才前後まで下降し、その後は急速に落ちます。後者は50歳ごろまでほとんど横ばいで、そのあとは本人の努力次第で亡くなるまでおちません。ピカソは90歳をすぎ、亡くなる直前まで絵を描いていました。野上弥生子も百歳近く、死の前々日まで執筆していました。若い時から、たえず精進し続けていれば、体は衰えても、精神と心の老いは防げるのです。
眼と耳の不自由児の教育で著名な梅津八三東京大学名誉教授は、80歳の時の年賀状に書きました。“刻々が命日、刻々が誕生日。行年つねに0歳”と。この気持ちを忘れなければ、自分のためだけでなく、ひとさまのためにも生涯役立てる人生を送れるのではないでしょうか。 |
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